雲ひとつない青空。

照り付ける太陽の光を遮るものは何もないのに加えて、プールサイドからの照り返しが暑い。

じわりと、髪の生え際に汗をかいていた。


「あっついなー……」

「みど、暑いって言うと余計に暑くなるからやめてー」

「寒い寒い寒い寒い!」


“寒い”を連呼してみたものの、それで本当に寒くなるほど、都合よく出来ているわけもない。

ツ、と汗が頬を滑り、顎の先まで落ちてきた。


「あーあ、せっかくの私の美白が……! 日焼け止め塗り直そっかな」

「スミレ、さっき塗ったばっかりやろ」

「だって、汗で日焼け止め落ちちゃうんだもーん」

「はいはい」

「由香ちゃん、みどちゃん、これ見てー!」


高い声が聞こえたかと思えば、さっき水を汲みに行ってくれたきょんちゃんが、緑色のホースを持って、こっちに向かってきていた。


「バケツやと、また汲みに行かんとあかんやろ? やから、ホース奪ってきた!」

「おー!」

「ありがとー」


きょんちゃんにお礼を言いながら、ちらっと水道のほうを見ると、つまらなさそうな顔をしたワタルが見える。

きっと、ホースを使って遊んでいたのを、きょんちゃんに奪い取られたんだろう。

きょんちゃんは、というと、これ以上にないくらい楽しそうだ。