さすがリク。

そうだ。正しさなんて、幻想だ。

正しいことが偉いだなんて、誰が決めたの?



私とリクの恋は、確かに正しくはないのかもしれない。

間違っているのかもしれない。


でも、リクを好きになったのが間違いだったなんて、私にはどうしても思えない。


間違っていても、間違いなんかじゃない。

間違った恋でも、間違いなんかじゃない。



正しくなんかなくたっていいの、と呟くと、リクが頷いて私を両腕の中に包み込んだ。

はじめは壊れものに触れるように優しく、それから次第に力強く、熱く抱きすくめる愛しい腕。


私はうっとりと目を閉じた。



だって、ほら、二人でいると、こんなにも満ち足りて幸福なの。


こんなに幸せなのに、泣きたいくらい温かいのに、私たちが愛し合うことが、どうして正しくないだなんて言えるの?



そんなことは誰にも言わせない。



深い口づけを交わしながら、とろとろにとろけて二人で一つになるまで、いつまでも互いを求め合い、貪り合った。



ああ、幸せ。


こんな幸せが他にある?



誰よりも愛している人に、誰よりも愛される。


誰にも邪魔されず、永遠を願い、誓い、信じられる。



ここは、エデン。


知恵の樹なんか生えていないエデン。


燃えるような生命の樹と、甘い甘い果実の樹だけが生える、私たちのエデン。