私たちの部屋は、天井も壁も床も、ドアもそなえつけの家具も、何もかも真っ白。


だからこの部屋を、まるで天国にいるみたい、と一目で気に入ったのだ。



その部屋の真ん中に置かれた大きなベッドの上に、私たちは今、二人ならんで寝転がっている。


ベッドもシーツも羽根毛布も、もちろん真っ白だ。




リクはうつ伏せになって頬杖をつき、斜め上をぼんやり眺めていたけど、しばらくして、エデンっていうのはどうだろう、と呟いた。



エデン。

胸がわくわくするような響きだ。


さすが、私のリク。



エデンってどういう意味なの? と私は訊ねる。


聞いたことはあったけれど、はっきりとは意味を知らなかった。



ヘブライ語で「歓喜」って意味だよ、とリクが微笑む。



ヘブライ語?

さすが、私のリクは、とても物知りだ。



それにしても、歓喜。

それが部屋の名前?


なんてすばらしいんだろう。



エデンって響きが素敵だね、と呟くと、リクが微笑んで小さく頷いた。



ウミは『エデンの園』って聞いたことがある? とリクが言う。


私は、なんとなくね、と答えた。



エデンっていうのはね、旧約聖書の創世記に記された楽園の名前なんだよ。


最初の人類、アダムとイヴのために、神様が作った楽園が、『エデンの園』なんだ。



私は目を見開いてリクをじっと見つめる。



つまり、二人のためだけの楽園なのね?


そうだよ。良い名前だろう。


うん、とっても。