お見舞いに行く連絡はしているが、念のため学生証を見せてから病室のドアを開けた。

明るい病室のベッドに体を起こして、なにかを書いていた彼女が顔をあげた。

顔色はまだ悪く見えるけれど・・・・・・。

せいいっぱいの元気な声を出して私は言う。


「友季子、久しぶり」


「ほんとだね」


友季子は悲しくほほ笑んだ。



___あの事件から、10日が過ぎていた。



最後の発砲に崩れたのは、橘だった。

心臓を撃ち抜かれての即死だった、と聞いた。

その混乱の中、結城がまっすぐに私に駆けてくるところで意識は途絶えた。

やはり、強い睡眠薬のせいらしい。

病院で胃の洗浄を受けた私は、飛んで来た両親によって実家へと強制送還。


実家のテレビのニュースでしかその後のことは知らない。

事情聴取は見たこともない刑事が実家まで来てくれて終わっている。


「みんな助かってよかったわね」


よしこちゃんの声に、私もうなずく。