なんでこんな人を好きになったの?


『琴葉、しっかりしろ。とにかく小野友季子は』


「指図しないでよ。結城さんなんて・・・・・・結城さんなんて大っキライ!」


通話の終了ボタンを思いっきり押して切った。

すぐに電源も落とす。

真っ暗になる画面を確認してポケットに入れた。


はぁはぁ、と息づかいだけがまだ部屋に響く。


胸が苦しかった。


なんで、なんで?


疑問ばかりが頭をくるくる回っている。


「そうだ、友季子・・・・・・」


友季子と浩太は港に向かっている。


「追いかけなくちゃ」


自分自身をふるい立たせるように口にすると、なんの迷いもなく部屋を飛び出した。

幸いよしこちゃんは自分の部屋にいるらしく、気づかれることなく寮を出ることができた。

外に立っていた警察官が私を見て会釈する。

大丈夫、気づいていない。


同じように会釈をしてからその場を離れた。