「そいじゃ、またねー」

嶋村先輩たちが手をふりながら明るい声で言った。

2次会に向かうらしいが、後輩の役目はこれで終わり。

寮のルールで、先輩の合コンではたとえ気に入った男子がいたとしても、メルアド交換などは許されていない。

さらに2次会への参加もNG。

あくまで、先輩を立てることになっている。

そのかわり、夕食当番を先輩たちが変わってくれたりするので、持ちつ持たれつってとこ。


「行っちゃったね」


私がそう言うと、

「嶋村先輩、もうロックオンしてたね」

いつもよりオクターブ高い声ではしゃぐ先輩を見ながら友季子がクスクス笑った。


「はじめから狙いつけてた。逃さないわよってオーラ出てたし」

歩き出す友季子に並んで私も言う。


合コンと言っても、さすがに高校生だから、たいていファーストフード店でおしゃべりして終わり、ってのが定番。

このあとはカラオケでも行くのかな。


だんだん暗くなる夕暮れは、否応なく昨日の出来事とシンクロする。