「なんで?」


友季子が首をかしげる。


「ちょっと忘れ物」


「あ、そうなんだ」


今日学校に行ってないから違和感があったかな、とも思ったけれど友季子はすんなり納得したらしい。


「待ってるよ」


げ。


「俺も」


げげ。


「友季子は夕食当番っしょ。浩太も早く帰って考えること」


いささか強引かとは思ったが、ようやくふたりは帰ってくれた。

ふたりの姿が見えなくなると、ポケットからスマホを取り出して時間を確認する。


14:50


「よし・・・・・・」


なんとか間に合った。

誰もいない校舎の階段を登ってゆく。

目指すはもちろん、屋上。

寺田が待っているはずだから。

ちなみに寺田には教えなかったけれど、屋上のドアにはカギがかかっているはず。

踊り場のところできっと待っているんだろう。