でも、そしたらほんとに歯止めがきかなくなるかも。

上靴にはき替えて職員室へ。


「コータ、強引に山本先生を問い詰めないでよ」


「わかってるよ」


そう言うが、とても信用できない。

それくらい浩太がさっきから緊張しているのがわかったから。

恋人の行方をつかむためなら、なにするかわからない。


ガラッ

扉を開けると、4人の先生が集まって話をしていた。


「なんだ、おまえら」


生徒指導の赤ダヌキが私たちを見て言った。

いつも顔が赤いのは、お酒が抜けていないからだ、とみんなウワサしている。


「すみません。山本先生いますか?」


なんでもない、という軽い感じで浩太が尋ねる。


「今日は学校は休みのはずだろ。早く帰れ」


赤ダヌキはギロッとにらむが、浩太は、

「山本先生に話があって来たんです」

と、食いさがった。


「だからぁ」


今にも大声を出しそうに赤ダヌキが近づいて来る。