いったいどうしたのだろう。

江梨子の件を心配しているだけじゃなく、普段から慎重なはずの悠香まで行方不明になるなんて。

ため息を落とし、私も帰ろうと歩き出したその時、

「琴葉さん?」

と、声がしてそちらを向いた私は固まった。

そこには、朝学校の前にいたリポーターとカメラマンが立っていたのだ。

カメラが私を向いている。


「な、なんなんですか」


「琴葉、って呼ばれてたわよね。あなたの名前でしょう?」


リポーターは厚化粧の顔をゆがめながらマイクを私に向けた。

いや、笑っているようだ。


「それが?」


答えながらも、私の足は公園の出口に向かう。

こっそり話を聞いていたなんて、信じられない。

レポーターは急ぎ足で追いつきながらマイクを差し出してくる。


「さっきの子、香川浩太でしょう?」


「・・・だから?」


なにごとかと、お母さんたちがこっちを見ている。