「うん・・・・・・」


江梨子だけじゃなく、悠香まで。

全然、現実のことだと受け入れられない。

だって、金曜日まで悠香と普通に会ってたよ?

そんな急にいなくなるものなの?

あ、浩太。

今さらながら気づいて席を見るけれど、浩太の姿もなかった。


「浩太なら、職員室」


私の視線に気づいたのか、男子が教えてくれた。


「そう・・・・・・」


つぶやくように言いながら、前を向き直った。

先生に事情を聴かれているのかも。

彼は、今どんな気持ちなんだろう。

恋人が行方不明になってしまったなんて、きっと相当つらいに違いない。

どんな言葉をかければいい?

胸がざわざわした。

結局、その日の学校はホームルームをしたあと、私のクラスだけ早退となった。


そして、最後まで浩太は戻ってこなかった。