はじめて見る警察手帳は、いたってシンプルながら意外に重かった。

ページをめくると、確かに、結城の所属と名前が書いてあった。

写真もある。

目の前でしている表情と同じく、ムスッとしている。

なんて愛想のない顔なんだろう。

顔を見ただけで、どんなけ横柄な人か伝わってくるよ。


でも・・・・・・どうやら、間違いないみたい。


なんだか勝負に負けたような気がしながらも、私は警察手帳と財布を結城に渡した。


「生徒手帳も」


「え?」


「落とし物の届け出には、拾い主の情報が必要。生徒手帳出せよ」


ヒラヒラと手をふって要求する結城。

なによ、エラそうに。

心で反抗しながらも、私はカバンのサイドポケットから生徒手帳を取り出すと、結城に渡した。


「ふーん。石田琴葉、高校2年生か」


「・・・・・・」


「寮に住んでるのか?」