心が、揺れる。


ぐらぐらと激しく揺れる。



ずっと麻痺していた剥き出しの心に、突如甦った彼の面影は、あまりに強烈だった。


胸が苦しくて、息が苦しくて、眩暈がして、

立っていられなくなり、私は前のめりに雪原に倒れ込む。



表面を覆う降りたての新しい雪は、ほとんど感触もないくらい柔らかかった。


まるで真っ白な泡に身を包まれているようだ。


ただ、その冷たさだけが、薄いシャツ一枚を纏っただけの身体に、刺すように伝わってくる。



頬に触れた雪が溶けはじめる前に、頬が感覚を失うほど冷えきった。



横向きになった顔に、雪がふわふわと舞い降りてくる。


雪曇りの空に目を向ける。

淡い青紫の混じった灰色の空だ。


数えきれないほどの白いかけらが、宙を埋め尽くしていた。