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雪に足を埋ずめながら、静かすぎる街を、私はゆっくりと歩く。
しばらくして、凹凸もなく平らに広がった、まっさらな雪の原が目の前に広がった。
ここはどこだろう。
何があった場所だっけ。
何でも知っているはずの町なのに、知らない場所がある。
雪に覆われてしまった世界では、もとは何があったのかさえ、分からなくなってしまう。
「なんにもない………」
思わず、つぶやいた。
その瞬間に、なぜか、彼のことを思い出した。
思い出してしまった。
なんにもない世界の真ん中で、どうしようもなく強く、はっきりと、思い出してしまった。
ずっと忘れていたのに。
心に蓋をして、二度と思い出さないようにしていたのに。
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ここはどこだろう。
何があった場所だっけ。
何でも知っているはずの町なのに、知らない場所がある。
雪に覆われてしまった世界では、もとは何があったのかさえ、分からなくなってしまう。
「なんにもない………」
思わず、つぶやいた。
その瞬間に、なぜか、彼のことを思い出した。
思い出してしまった。
なんにもない世界の真ん中で、どうしようもなく強く、はっきりと、思い出してしまった。
ずっと忘れていたのに。
心に蓋をして、二度と思い出さないようにしていたのに。