陽さんの中で溶けたチョコレートが、静かにその命を蝕んでいくのが、私には見える。




陽さんは深淵の瞳で私を誘惑しつづけた。




気がつくと、私は陽さんの膝の上にのり、その両頬を包み込んでいた。



繊細に整った顔を上向かせ、見つめる。




陽さんは口を開き、甘い甘い海へと、私をいざなう。



毒に冒されたチョコレートの海へ。




私は口を開け、神に捧げるように、舌を差し出した。



受け止めるように、陽さんの舌が伸びてくる。




私は目を閉じて、毒の海へ飛び込んだ。



真っ赤な粘膜がゆっくりと絡み合う。





私は静かに、ゆらゆらとたゆたいながら、溺れている。



濃密で甘美な、罪の香りのする海で。






あいしてる


あいしてる


あいしてる


あいしてる




これで やっと



あなたは わたしのもの―――






何度も何度も囁きながら。







*Fin.