あっという間に服を脱がされ、生まれたままの姿にされる。


愛しい指に触れられて、肌という肌が熱を帯びているので、これっぽっちも寒くはない。



陽さんはいつものように愛撫をして、私の身体をほぐそうとするけれど、

そんなことをする必要もないくらい、私は全身で陽さんを待ち受けていた。



「陽さん………」



慣れ親しんだ首に両腕をまわし、甘えるように頬を寄せる。


その瞬間、全身に冷水を浴びせられたような気がした。



―――濃厚な甘い香り。

チョコレートの香りが、陽さんから香ってきたのだ。


頭が真っ白になる。


陽さんが他の女からチョコレートをもらうことくらい、わかっていたはずなのに。


自分でも驚くほど、ショックだった。



「………どうした?」



突然、あっと声を上げて動きを止めた私を訝しむように、陽さんが眉をひそめる。


私はなんとか首を横に振り、微笑みをつくった。



「ううん………来て」



わざと甘い声をかすれさせ、陽さんの耳許に囁きかけた。


陽さんはぐっと私の身体を引き寄せ、ゆっくりと中に入ってくる。



でも、私はもう、熱を失っていた。


何も感じない。


歓喜も快楽も、あっさりと私の中から脱け出していった。