一瞬たりとも彼と離れたくない。


彼が他の女と話すのさえ耐えられない。


彼が他の女に触れていると考えるだけで、血を吐くほどに苦しい。



私はいつからか、彼を独り占めしたくなってしまった。



でも、わかっている。


彼は私のものにはならない。

離婚なんかしない。


奧さんに対して愛はないと言っていたけれど、

ときどき冗談のように、離婚してお前と結婚してやろうか、と笑うことがあったけれど、

彼が本当にそんなことをするつもりはないと、いくら愚かな私でも分かった。



頭では理解できたけれど、心が、身体が、おさえようもなく彼を欲していた。


私はいつからか独占欲の塊になった。

そのきっかけは、彼の奥さんがもうすぐ赤ちゃんを産むのだと、知ってしまったことかもしれない。


でも、そんなことは、どうだっていいのだ。



ただ私は彼と一緒にいたいだけ。


離れたくない。

ずっとここにいてほしい。

私だけのものになって。



―――だから、私は彼を殺す。


殺したら、何度も愛し合ったあのベッドの上に寝かせる。


そうすれば、彼は永遠に、私のもとを去らない。

私はいつでも彼に触れられる。

毎晩、彼と一緒に眠ることができる。



―――ああ、なんて幸福だろう。

夢のようだ。



だから、彼を殺す。

そうして私のものにする。