「そう。美月ちゃんの言う通りに作れば、美月ちゃんの作りたいものが出来るでしょ。味付けとか。
まあ完全再現とはいかなくっても、近いものはできるんじゃないかな。
どうかな、美月ちゃん?」


最後は、美月ちゃんの方を見て訊いた。

これって、いい案だと思う。
美月ちゃんの味付けであれば、園田くんも彼女の存在をもっと感じられるんじゃないだろうか。
そしたら、二人は少しだけでも近づけるかもしれない。


「あ、あたしやりたい! ヒィが手伝ってくれるなら、やれると思う!」

「オッケー。じゃあ、試しにやってみよう。ということで、明日は私が美月ちゃんの指示下でお弁当を作ります」


とりあえず、思いついたことは何でもやろう。


「あ。そのお弁当さ、俺も一緒に食べさせてほしいな」


ひょいと手を挙げたのは、長尾くんだった。


「ん? それはもちろんいいけど?」


一人分増えたって、まあ大丈夫だろう。


「やった。楽しみにしておくね」


長尾くんがニコニコと笑った。
長尾くん、実は美月ちゃんのお弁当が食べたかったのだろうか、なんて私はぼんやりと考えたけれど、彼の意図が分かったのは翌日のことだった。

ともかくも、私たちは明日お昼ご飯を一緒に食べる約束をして、その日は解散した。