昨日と同じようにベンチに座って園田くんを待つ私だったが、緊張感は昨日の比ではなかった。

覚悟はしているとはいえ、やはり剝き出しの怒りをぶつけられるのは怖いものだ。
今日は長尾くんがいるから多少の緩和が期待出来るけれど、やっぱ怖い。

だけど、二人の為に頑張らなければ。
膝の上に置いた手をぎゅっと握った。

噴水前に設置された時計が五時五分を差した時、美月ちゃんが「来た」と短く言った。
ぱっと顔を上げると、園田くんと長尾くんが連れだってこちらに向かってくるところだった。

私が立ち上がるのと、園田くんが私に気が付くのはほぼ同時だったと思う。
園田くんの顔が歪み、隣にいる長尾くんに「どういうことだよ!」と怒鳴った。


「何でここに、こいつがいるんだよ!」

「落ち着け、杏里。少しでいいから話を聞いてやってほしいんだ」

「あのふざけた話を聞けって? やだね。お前も、くだらねえことに付き合ってんじゃねえよ!」


踵を返そうとした園田くんを止めるように、長尾くんが腕を掴む。


「待てって、杏里! 福原さん!」


長尾くんの視線に頷いた私は、叫ぶように言った。


「初めて一緒に観に行った映画は『塔の上のラプンツェル』! 園田くんは待ち合わせに四十分も遅刻した!」

「……は?」


園田くんが振り向いて私の方を見た。
驚いた顔をしている。
私はそのチャンスを逃すまいと、続けた。