「じゃあ、今日は早めに寝よっか。明日は忙しくなるかもしれないし」

「うん、そうだね!」


それから、私たちは一緒にベッドに入った。
といっても、美月ちゃんは布団の上にふわふわ浮く感じだけれど。


美月ちゃんは幽霊だからずっと起きているのかな、と思ったりもしたけれど、彼女はよく寝る。
すうすうと心地よさそうに眠るのだ。
食欲などは一切なく、空腹感もないと本人は言うのだけど、睡眠欲だけは残っているのらしい。


「寝相が悪くても、ぶつかる心配がないからいいよねえ」


私のベッドの端っこに身を寄せた美月ちゃんが笑う。


「そうだね。万が一ベッドから落ちても、痛くないしね」

「まあねー。もう二回くらい落ちたもん」

「えー、私が見ただけでも三回だよ」

「あう、バレてた! 実は床も突き抜けちゃってて、気付いたら一階の真ん中のあたりでふわふわしてたこともある」

「えー、それは知らなかった! それって、ホラーだね」

「ね。超ホラーだよ。部屋の真ん中で浮いてる女子高生の霊! なんてさ」


ベッドの中で、互いが眠りに落ちるまでこそこそと話す。
顔を寄せ合って、クスクス笑い合って、それは修学旅行の夜みたいで楽しい。


「ふあ、眠くなっちゃった。じゃあ、おやすみなさい、ヒィ」

「おやすみ、美月ちゃん」


私たちは仲良く挨拶し合って、目を閉じた。