「あれ? お母さん、私、えっと……」
「どうしても樋村さんのお葬式に行くってきかないから行かせたけど、まだ無理しちゃいけなかったのよ。ヒィちゃん、途中で倒れたの覚えてる?」
「あ、そっか」
ぼんやりと思いだす。
そうだ、私は美月ちゃんのお葬式に行って、そこであり得ない幻を見て倒れちゃったんだ……。
私、なんて幻を見たんだろう。
誰にも見つけてもらえなくて泣き叫ぶ美月ちゃんの幽霊なんて、趣味が悪すぎる。
顔を歪めた私だったが、頭にひんやりしたものを感じてはっと我に返る。
母が私の頭をゆっくりと撫でてくれていたのだ。
「チィと明日香ちゃんが支えてくれてたから、倒れ込まなくって済んだのよ。もう、お願いだから心配させないで」
「ごめんなさい……」
そう言う母の顔には疲れが滲んでいた。
もしかしたら、母は私が目覚めるまでずっとここにいてくれたのかもしれない。
申し訳なさを感じて、顔の半分以上を布団の下に隠して謝った。
「悪いと思うのなら、せめて今日一日はゆっくり寝ていてちょうだい。後で部屋までご飯持ってきてあげるから」
「ありがと……。ねえお母さん、今何時くらい?」
カーテンを閉じた部屋は薄暗い。
壁にかけられた時計の文字盤が見えなくて訊くと、立ち上がった母がカーテンを開けた。
途端に、まばゆい光が室内に飛び込んでくる。
「朝の九時すぎ。ヒィちゃんは昨日のお葬式で倒れてから、ほとんど一日眠ってたのよ」
「そんなに」
まぶしさに目を細めながらつぶやく。
「じゃあ、美月ちゃんのお葬式、もう終わっちゃったんだね……」
「そうよ」
胸の奥に重たい物が落ちる。
もう、この世に美月ちゃんはいないんだ……。
「どうしても樋村さんのお葬式に行くってきかないから行かせたけど、まだ無理しちゃいけなかったのよ。ヒィちゃん、途中で倒れたの覚えてる?」
「あ、そっか」
ぼんやりと思いだす。
そうだ、私は美月ちゃんのお葬式に行って、そこであり得ない幻を見て倒れちゃったんだ……。
私、なんて幻を見たんだろう。
誰にも見つけてもらえなくて泣き叫ぶ美月ちゃんの幽霊なんて、趣味が悪すぎる。
顔を歪めた私だったが、頭にひんやりしたものを感じてはっと我に返る。
母が私の頭をゆっくりと撫でてくれていたのだ。
「チィと明日香ちゃんが支えてくれてたから、倒れ込まなくって済んだのよ。もう、お願いだから心配させないで」
「ごめんなさい……」
そう言う母の顔には疲れが滲んでいた。
もしかしたら、母は私が目覚めるまでずっとここにいてくれたのかもしれない。
申し訳なさを感じて、顔の半分以上を布団の下に隠して謝った。
「悪いと思うのなら、せめて今日一日はゆっくり寝ていてちょうだい。後で部屋までご飯持ってきてあげるから」
「ありがと……。ねえお母さん、今何時くらい?」
カーテンを閉じた部屋は薄暗い。
壁にかけられた時計の文字盤が見えなくて訊くと、立ち上がった母がカーテンを開けた。
途端に、まばゆい光が室内に飛び込んでくる。
「朝の九時すぎ。ヒィちゃんは昨日のお葬式で倒れてから、ほとんど一日眠ってたのよ」
「そんなに」
まぶしさに目を細めながらつぶやく。
「じゃあ、美月ちゃんのお葬式、もう終わっちゃったんだね……」
「そうよ」
胸の奥に重たい物が落ちる。
もう、この世に美月ちゃんはいないんだ……。