「ごめんね。あたし、49日しか、この世に居られなかったみたいなんだ」


「なんだよ、それ!」


叫んだ園田くんが、穂積くんに視線を向ける。
その穂積くんの表情で、彼は知る。


「……ヒィが、タイムリミットって言ってた。知らなかったのは、俺だけ、か?」

「すまない、杏里。でも、俺たち」

「何も知らずに! 俺はヘラヘラしてたのかよ!」


園田くんが、美月ちゃんを抱く腕に力を込める。
息ができないくらい、強く。


「何で言わねえんだよ! 言ってくれよ! 俺、こんな別れ嫌だよ」


骨が軋むくらい、強い。
美月ちゃんが、苦しそうにそっと息を吐く。


「……ごめん、あーくん」

「謝るなら、どうして言わねえんだよ。何で隠すんだよ。こんなの、こんなのってねえよ!」

「あたしの、我儘、なの。いつも通りでいて欲しい、って」

「それで、これかよ⁉ ふざけんな。俺が、どれだけお前のこと好きか分かってんのかよ! こんな我儘、許せるわけねえだろ!」


園田くんの声が潤む。
抱きしめる手が、震える。

遠くにその感覚を覚えながら、私は思いだしていた。
公園で、園田くんが美月ちゃんではなく私の手を掴んだときのことを。

恐怖に耐えられなくて、私に掴まるようにぎゅっと掴んだ園田くん。
あの時と、同じだ。