私は、誰もいない校舎の、廊下のど真ん中に突っ立っていた。
窓の向こうには高く澄んだ青空が広がっていて、楽しそうな笑い声がした。
ゆっくりと周囲を見渡した私は、そこが中学校の校舎であると気付く。


『誰か、いますかー?』


声はする。周囲にはたくさんの人の声があふれている。
けれど、姿は見えない。
私の横を誰かの声が通り過ぎていった。


『え? えっと、誰かー?』


声を張り上げる。
周りではみんなそれぞれ会話をして笑い合っている。
だけど姿はやはり見えない。

私は廊下に一人きりで突っ立っているのだ。


『なにこれ、やだ』


声が聞こえる。
みんな楽しそうにしている。
だけど、私は一人だ。
だんだん怖くなって、私は両耳を押さえて走り出す。


『助けて、誰か!』


叫び声をあげたところで、全身に痛みが走った。