「お疲れさま」
「あー、陽鶴ちゃん、お疲れさま! こないだも会ったよね」
声をかけると、美月ちゃんがにっこりと笑う。私も、出来る限り笑ってみた。
「そうだね。よく会うよね。じゃあね」
二人の横を通り過ぎようとしたその時だった。
「あ、陽鶴ちゃん! そういえば、同窓会の連絡来た?」
美月ちゃんが私を呼び止めた。
「へ? 同窓会?」
知らなくて足を止めてしまう私に、美月ちゃんが「まだ来てないのか―」と言う。
それから、長い髪を耳にかけながら、にかっと笑った。
「なんかね、中学校の時の同窓会が計画されてるみたいなんだ。夏休み中にやろうって」
私と美月ちゃん、園田くんは同じ中学だった。
しかも、美月ちゃんとは三年間同じクラス。
「へえ、そうなんだ。美月ちゃんたちは、行くの?」
「うん! せっかくだし。それに、計画立てた喜和子たちから、絶対参加してって言われてて」
ね? と美月ちゃんが隣を窺うと、園田くんが面倒くさそうに頷いた。
「普段でもけっこう同中の奴に会うし、仲いいやつとは遊ぶし、同窓会なんていっても全然懐かしくないけどな」
「あーもう! あーくんったら、またそんなこと言うんだから! 会ったら絶対楽しいもん!」
ぷう、と頬を膨らませてみせた美月ちゃんが、私を見てにっこり笑った。
「陽鶴ちゃんも、よかったらぜひぜひ参加してね。せっかくだから、みんなで会いたいもの」
「あー、うん」
……ごめん、美月ちゃん。
私も、園田くんと同じく、ちょっと面倒だわ。
仲のよかった子たちとは、それぞれ個別に会えばいいわけだし。
中学校にはあんまりいい思い出ないし。
だけど、この天使のような笑顔の前ではそんな冷めたこと言えない。
曖昧に笑った私だった。
話しながら歩いている内に、私たち三人は交差点の信号に掴まることになった。
ああ、やだな。
何でここの交差点は、青になるまで時間が掛かるんだろう。
なんか私、二人の空気をお邪魔してるって感じ。
三人で、信号が変わるのを待つ。
美月ちゃんは園田くんの腕に自分の腕をからませて、ジュースを飲んでいる。
綺麗な喉が露わになって、可愛い子はどんな角度でも可愛いなと私はぼんやり思った。
園田くんはその間、自分の腕にくっついて甘えてくる美月ちゃんの頭を撫でていた。
ごつごつした手が、最上限に優しく動いているのを、私は絵画を見ているように見つめた。
「あ、信号変わったよ!」
長い長い赤が、青に変わる。
園田くんの腕からするりと離れた美月ちゃんが、私の横をすり抜ける。
私は、軽やかな彼女を追うように足を進めた。
「あー、陽鶴ちゃん、お疲れさま! こないだも会ったよね」
声をかけると、美月ちゃんがにっこりと笑う。私も、出来る限り笑ってみた。
「そうだね。よく会うよね。じゃあね」
二人の横を通り過ぎようとしたその時だった。
「あ、陽鶴ちゃん! そういえば、同窓会の連絡来た?」
美月ちゃんが私を呼び止めた。
「へ? 同窓会?」
知らなくて足を止めてしまう私に、美月ちゃんが「まだ来てないのか―」と言う。
それから、長い髪を耳にかけながら、にかっと笑った。
「なんかね、中学校の時の同窓会が計画されてるみたいなんだ。夏休み中にやろうって」
私と美月ちゃん、園田くんは同じ中学だった。
しかも、美月ちゃんとは三年間同じクラス。
「へえ、そうなんだ。美月ちゃんたちは、行くの?」
「うん! せっかくだし。それに、計画立てた喜和子たちから、絶対参加してって言われてて」
ね? と美月ちゃんが隣を窺うと、園田くんが面倒くさそうに頷いた。
「普段でもけっこう同中の奴に会うし、仲いいやつとは遊ぶし、同窓会なんていっても全然懐かしくないけどな」
「あーもう! あーくんったら、またそんなこと言うんだから! 会ったら絶対楽しいもん!」
ぷう、と頬を膨らませてみせた美月ちゃんが、私を見てにっこり笑った。
「陽鶴ちゃんも、よかったらぜひぜひ参加してね。せっかくだから、みんなで会いたいもの」
「あー、うん」
……ごめん、美月ちゃん。
私も、園田くんと同じく、ちょっと面倒だわ。
仲のよかった子たちとは、それぞれ個別に会えばいいわけだし。
中学校にはあんまりいい思い出ないし。
だけど、この天使のような笑顔の前ではそんな冷めたこと言えない。
曖昧に笑った私だった。
話しながら歩いている内に、私たち三人は交差点の信号に掴まることになった。
ああ、やだな。
何でここの交差点は、青になるまで時間が掛かるんだろう。
なんか私、二人の空気をお邪魔してるって感じ。
三人で、信号が変わるのを待つ。
美月ちゃんは園田くんの腕に自分の腕をからませて、ジュースを飲んでいる。
綺麗な喉が露わになって、可愛い子はどんな角度でも可愛いなと私はぼんやり思った。
園田くんはその間、自分の腕にくっついて甘えてくる美月ちゃんの頭を撫でていた。
ごつごつした手が、最上限に優しく動いているのを、私は絵画を見ているように見つめた。
「あ、信号変わったよ!」
長い長い赤が、青に変わる。
園田くんの腕からするりと離れた美月ちゃんが、私の横をすり抜ける。
私は、軽やかな彼女を追うように足を進めた。