「違っ。私は我慢なんてしてない! 私は自分がしたいことをしただけなの」

「だって、ヒィはあーくんのこと好きでしょ? 自分の気持ち、殺してたんでしょ?」

「園田くんは……好きだけど! でも、その気持ちを殺してたわけじゃない。私は、見てるだけでよかったの!」


園田くんが好きだ。

だけど、私は。

彼が笑ってくれていたらそれでよかった。
幸せでいてくれたら、それで満足だった。


「私は、園田くんとミィが付き合いだした時、よかったと思った。大好きな人が、大好きな子と付き合うんだもん。おめでとうって、心から思えた」


大好きな人の傍にいるのが、私を救ってくれたあの子なら。
私の大好きなあの子なら。
きっと私より、あの人を幸せにしてくれる。

そう思ったら、私は幾らでも、幸せを祈れた。
どうか、彼らがいつまでも笑い合ってくれますように、と。


「二人が仲良くしているのを見るだけで、嬉しかった。私は、二人が一緒にいるのを見るだけで、ここが、胸があったかくなったんだ」


どんっと胸を叩く。
言いながら、涙が零れる。

今まで誰にも言わないで、胸の奥にそっとしまっていた想い。
それを口にすると、感情のコントロールを失った。