前日の遅くまで絵を描いたり、美月ちゃんの家に行ったりしたので、学校についたのは昼を少し過ぎたころだった。
男の子たちには今日はお弁当を作れないことを伝えていたので、自分の食事を摂ろうと食堂に向かう。
しかし、中に入った私を「ヒィちゃん!」と出迎えたのはその二人だった。


「おつかれ!」

「あれ? 園田くんと穂積くん。二人ともご飯遅いんだね」

「違う違う。昼ぐらいに来るって言ってたから、待ってたんだ。あ、ストップ!」


食券を買いに行こうとした私を穂積くんが止める。


「なに?」

「いやー、実は。お弁当、俺たちが用意しました」

「あ。コンビニかどこかで買ってきてくれたの? ありがとう」

「いやいや、違うくって」


穂積くんと園田くんが顔を見合わせて、それから少し気恥ずかしそうに言った。


「俺たちが、作ったの」

「は」


美月ちゃんと顔を見合わせる。
それから、照れた二人の顔をまじまじと見た。


「作った? 二人が?」

「そう。俺のかーちゃんに教えてもらって、つーかめちゃくちゃ指導受けながら、作った」


園田くんがほっぺたを赤くしてもぐもぐと言う。
手を見れば、人差し指の先にバンソウコウが巻いてあった。
園田くんと、穂積くんが作った? お弁当を?


「いつもヒィたちに作らせてるから。まあ、お礼にもなんねえけど」

「食べます」


私と美月ちゃんの声がハモった。