あれから、美月ちゃんは糸が切れたように眠りに落ちた。
私は最後まで、園田くんに彼女が起きていたことを伝えることができなかった。
私たち三人はとても近くにいるのに、思いは交わることが出来ないでいた。
「二時間経ったし、来たー。さっきの虹見た? すげえ綺麗だったよねー。って、あれ?」
ニコニコしながら現れた穂積くんが、ベンチでうなだれている私と穂積くんを見て、「何かあったの?」と訊いた。
「二人とも、なんて顔してんだよ」
「ごめん。俺、頭冷やしながら帰るわ。穂積、ヒィを頼むな」
園田くんはぱっと立ち上がると、そのまま自転車に乗って行ってしまった。
背中に穂積くんが声をかけたけれど、ペダルを漕ぐ足は止めなかった。
「なんだよあいつ。えっと今はヒィちゃんだよね。何があったのさ? っていうか、なんか泣いてない?」
「あ、うん。私は陽鶴。あっと、顔汚いよね」
鼻水を啜って、バッグの中からハンカチを取り出して目元を拭った。
「なんでヒィちゃんが泣くの」
「色々、あって」
「色々って?」
顔を拭いて、私は目の前に立つ穂積くんを見上げた。
「ねえ、どうしたらいいんだろうね、穂積くん」
もう、何から言っていいのかわからない。
この問題に明確な答えを見つけ出せる人はいるのだろうか。
「どうしたら、って?」
「美月ちゃんと園田くんには、もう奇跡は起きないのかなあ」
「……とりあえず、話聞くよ。えっと、美月ちゃんは寝てるの……って、寝てなきゃこんな話題ふってこないか」
「うん」
頷くと、穂積くんは私の横に腰かけた。
背もたれに体を預け、空を仰ぐ。
「とりあえず、これまでの経緯を順を追って教えてくれる?」
「ん……」
私は、すん、と鼻を啜って目覚めた時からの話を始めた。
私は最後まで、園田くんに彼女が起きていたことを伝えることができなかった。
私たち三人はとても近くにいるのに、思いは交わることが出来ないでいた。
「二時間経ったし、来たー。さっきの虹見た? すげえ綺麗だったよねー。って、あれ?」
ニコニコしながら現れた穂積くんが、ベンチでうなだれている私と穂積くんを見て、「何かあったの?」と訊いた。
「二人とも、なんて顔してんだよ」
「ごめん。俺、頭冷やしながら帰るわ。穂積、ヒィを頼むな」
園田くんはぱっと立ち上がると、そのまま自転車に乗って行ってしまった。
背中に穂積くんが声をかけたけれど、ペダルを漕ぐ足は止めなかった。
「なんだよあいつ。えっと今はヒィちゃんだよね。何があったのさ? っていうか、なんか泣いてない?」
「あ、うん。私は陽鶴。あっと、顔汚いよね」
鼻水を啜って、バッグの中からハンカチを取り出して目元を拭った。
「なんでヒィちゃんが泣くの」
「色々、あって」
「色々って?」
顔を拭いて、私は目の前に立つ穂積くんを見上げた。
「ねえ、どうしたらいいんだろうね、穂積くん」
もう、何から言っていいのかわからない。
この問題に明確な答えを見つけ出せる人はいるのだろうか。
「どうしたら、って?」
「美月ちゃんと園田くんには、もう奇跡は起きないのかなあ」
「……とりあえず、話聞くよ。えっと、美月ちゃんは寝てるの……って、寝てなきゃこんな話題ふってこないか」
「うん」
頷くと、穂積くんは私の横に腰かけた。
背もたれに体を預け、空を仰ぐ。
「とりあえず、これまでの経緯を順を追って教えてくれる?」
「ん……」
私は、すん、と鼻を啜って目覚めた時からの話を始めた。