三人で笑っていると、遅れて園田くんがやって来た。
私たちは電車で来たのだけれど、彼は自転車を漕いできたらしい。
だから、一緒に行けないと言っていたのか。
けっこうな距離なのに、自転車とは。さすが陸上部と言うべき?


「ごめん、遅れた⁉」

「それは大丈夫。ていうか、何で自転車なんだよ?」

「いや、この公園、サイクリングロードあるっていうから。美月乗せて漕ごうかなって」


少し汗をかいた顔で、園田くんはにっと笑った。

この公園は、芝生が敷かれた綺麗な広場があり、少し歩けばボートに乗れるという広い池もある。
苑水公園よりも敷地面積のある大きな場所だ。
しかし、サイクリングロードまであるのか。
知らなかった。


「じゃあ、俺はこの周辺うろうろしてるわ。誰かに会ったら、俺とははぐれたって言いな」

「わかった。ありがとうな、穂積」

「いいって。ほら、行って来い」

「じゃあ、美月ちゃん。いいよ、来て」


穂積くんが手を振って、歩き出す。
私は美月ちゃんに体を明け渡し、眠りに落ちる。


『じゃあ、寝ます! 時間ぎりぎりまで、楽しんでね。美月ちゃん』

「ありがとう、ヒィ」


嬉しそうな美月ちゃんの声に、笑みが零れる。


昨日の夜、楽しみすぎて寝られなかったんだよね。
何度も寝返りを打ってたの、知ってる。
私よりも寝ぼすけなのに、朝も早く起きたよね。

こんな時間でよければ、いくらだって作れるように協力するよ。
だから、楽しんで。

大好きな人との時間を。

目の前で極上に笑う園田くんにも、その思いを送って、私は眠りに落ちた。