「何だかすごく、嬉しいなあ。友達同士が仲良くなるのって、すごくいい」

「そうだね。私も、仲の良い人が増えるのは嬉しいよ」


部屋に戻って、冷えた水をごくごく飲む。
お風呂ではいっぱい汗をかき、それからいっぱいの水分補給をした方がいい、というのは女子力最強戦士美月ちゃんの教えである。
と、再びlineの通知が来たので確認すれば、それは園田くんからだった。


「あれ? 園田くんだよ、美月ちゃん」

「え、あーくん? 何て?」

「ちょっと話したい、だって。いいよ、体使って。あ。私寝るから、化粧水だけつけておいて」

「ありがとう!」


すぐに電話をかけ、コールの間に美月ちゃんに体を開け渡す。
私の心が奥に引っ込むのとほぼ同時に、園田くんの声がした。


『もしもし、ヒィ?』


とても優しい声が、静かに鼓膜を揺らす。


「ううん、あたし! 美月!」

『そっか、美月か。寝る前に少し話したいなって思って』


二人がこうして夜におやすみの会話をすることも、増えた。
甘い会話を盗み聞きするのは嫌なので、私はなるべく眠りに落ちるようにしている。

自分自身を丸めるようなイメージを作って意識を深く落とすようにすれば、ことんと眠れる、ということも出来るようになっていた。


『今日の午後は、何してた?』

「ヒィの絵のモデルしてたんだあ。ヒィってばすごく絵が上手いの。あとね、先生みたいに絵に詳しいの。今日はあーくんと同じ名前の画家さんの話を聞いて……」


二人の会話を子守唄代りにして、私は眠るのだった。