私は、その再会を、奇妙な位置から見ている。


流れる涙も、
握られた手も、
触れた熱も、
遠いけれど確かに感じられる。

自分の感覚だ。

そして、彼の熱情を帯びた目も、声も、真っ直ぐに私に向けられている。

溢れんばかりの想いを、真っ直ぐに受けているのは、私。
彼と触れ合っているのは、私。


だけど、
それは私じゃなくて。


私は私の端っこで、見ているだけ。
よかった、って思いながら見ているだけだ。

私は、傍観者のひとりにすぎない。
少しだけ、見ている位置がおかしいけれど。

狭いところで、私はそっと息をつく。


……ああ、よかった。

せっかくの再会だもの。
よれたTシャツを美月ちゃんに着せるところだった。
美月ちゃんの言うことをきいておいて、本当によかった。

やっぱり仮の器でも、美月ちゃんには少しでも可愛くいて欲しいや。


『よかったね、美月ちゃん。ゆっくり、楽しんでね。私は少し、寝るよ』

「ヒィ、ありがとう」

『おやすみー』


涙声の彼女に、できるだけ明るく言って、私は意識を眠りに落すべく、暗闇に向かった。