*
二人と学校の外で会うのに、姉のおさがりの超可愛い白のワンピースを着なくてもよかったのではないだろうか。
待ち合わせの時間の二十分も前から公園にいる私は、お弁当の入ったバスケットを抱えたまま、悩み続けていた。
「だって、ヒィにすっごく似合ってるんだもん! 絶対こっちのが可愛いもん!」
本当は、私は着慣れたTシャツに履きなれたジーンズで来るつもりだったのだ。
だって、私がお洒落をしたって仕方ない。
だけど、クローゼットを覗き込んだ美月ちゃんがあんまりにもワンピースを押して押して押してくるので、どうしようもなかったのだ。
だって、私の体を乗っ取ってまで着る! と駄々をこねるのだから仕方ない。
貴重な二時間をそんなところで使わないでほしい。
まったくもう。
「私が着飾ったって仕方ないと思うんだけどなあ」
「いいの! だって、あーくんだけじゃなくって穂積くんも来るんだよ?」
「だから何よー」
ため息をつく。
全く、昨日から美月ちゃんの言ってる意味が分からない。
穂積くんが私に好意を持ったとでも、思ってるんだろうか。
ありえない。
園田くんのお姉さんから私って、レベル落とし過ぎだから。
「陽鶴ちゃーん!」
声がしたので見て見れば、園田くんと穂積くんが連れだってこちらへ来るところだった。
おお、二人ともなんかかっこいい。
そしてお洒落。あ、これは、Tシャツで来ていたら浮いていたかもしれない。
「陽鶴ちゃん、待った?」
「いや、そんなに。美月ちゃんと話してたし、時間は気にならない」
私の手からバスケットを取り上げた穂積くんが、「今日の弁当は?」と訊くので、私は自分を指差す。
「タイムリミットぎりぎりまで美月ちゃんが入ってる方がいいかなと思ったから、私です。味が落ちたとか言わないように」
「はは、了解!」
二人と学校の外で会うのに、姉のおさがりの超可愛い白のワンピースを着なくてもよかったのではないだろうか。
待ち合わせの時間の二十分も前から公園にいる私は、お弁当の入ったバスケットを抱えたまま、悩み続けていた。
「だって、ヒィにすっごく似合ってるんだもん! 絶対こっちのが可愛いもん!」
本当は、私は着慣れたTシャツに履きなれたジーンズで来るつもりだったのだ。
だって、私がお洒落をしたって仕方ない。
だけど、クローゼットを覗き込んだ美月ちゃんがあんまりにもワンピースを押して押して押してくるので、どうしようもなかったのだ。
だって、私の体を乗っ取ってまで着る! と駄々をこねるのだから仕方ない。
貴重な二時間をそんなところで使わないでほしい。
まったくもう。
「私が着飾ったって仕方ないと思うんだけどなあ」
「いいの! だって、あーくんだけじゃなくって穂積くんも来るんだよ?」
「だから何よー」
ため息をつく。
全く、昨日から美月ちゃんの言ってる意味が分からない。
穂積くんが私に好意を持ったとでも、思ってるんだろうか。
ありえない。
園田くんのお姉さんから私って、レベル落とし過ぎだから。
「陽鶴ちゃーん!」
声がしたので見て見れば、園田くんと穂積くんが連れだってこちらへ来るところだった。
おお、二人ともなんかかっこいい。
そしてお洒落。あ、これは、Tシャツで来ていたら浮いていたかもしれない。
「陽鶴ちゃん、待った?」
「いや、そんなに。美月ちゃんと話してたし、時間は気にならない」
私の手からバスケットを取り上げた穂積くんが、「今日の弁当は?」と訊くので、私は自分を指差す。
「タイムリミットぎりぎりまで美月ちゃんが入ってる方がいいかなと思ったから、私です。味が落ちたとか言わないように」
「はは、了解!」