「私が小さいころは、この木にみなが集まってきたもんだ。私もこの場所がとても好きで、よく来ていたよ。大人になってから、めったにここで時間をつぶすこともなくなっていた。そうか……ひょっとしたら」

校長先生は、

「君は、私が来るのを待っていてくれたのか?」

と、やさしく木の幹を触った。



___その時



ビュオオオオ


嵐のような突風が駆け抜けて行った。

たくさんの赤い葉が一気に舞い降りてくる。



はらはらと、揺れながらいくつもの弧を描く。


それは、まるで桜の花びらのようでいて、そして美しい。