第一志望だった県内一の進学校に落ちた。それだけでも彼にとっては衝撃であったのに、滑り止めで受けたはずのこの高校でも、新入生代表は別の生徒だった。
一位であり続けることが自分の価値だったはずなのに、いとも簡単にその価値はなくなった。
周りは言う。大学入試で取り返せばいいと。
彼も思う。世間では最終学歴が物を言うと。
しかし、こうも思う。もしまた落ちたら、自分はどう生きていけばいいのかと。
ずっと机と向き合っている彼に、宿題を写させてくれと頼みに来るクラスメイトはいなくなった。
勉強しても、勉強しても、勉強しても、一位にはなれない。握りしめていたプライドは粉々になって消えている。
これ以上どう頑張ればいいのだろう。自分という存在が認められるためにはどうしたらいいのだろう。
一年生のときから受験を意識しながら勉強してきた。それでも出ないA判定。周りも本格的に受験勉強をしていて、じわじわと追い上げてくるのを感じる。焦りでどうにかなりそうだった。
いっそ、ここで終わることができたら。
不意にそんなことを思った。
浅はかだ、と自嘲したけれど、足は階段を上っていた。
屋上の風が涼しかったのを覚えている。
そして気づけば、彼は掲示板の前にいた。