洗濯物はすでに取り入れられていて、まだ乾いていなかったものがいくつか天井に張られたロープにかかっていた。

真央くん一人でやってくれたのだろうか。大変だっただろうな。

ぼんやりとそう思いながら私はパイプ椅子に座る。どうしたのか、なんて野暮なことを聞かれないこの環境がとても心地よかった。


机の上にお弁当を置いて包みを広げる。ぱかっと蓋を開けると、現れたのは癒し系のクマのキャラクター。


「わあ、また凝ってる……」


くすっと笑いながら醤油で茶色く色づいた丸いおにぎりと、その上に乗る海苔を観察する。

隣には卵焼きで作ったクマの友だちの黄色い鳥がいて、ブロッコリーとミニトマトの間にこじんまりと収まっていた。

手帳型のスマホケースを開いて、写真を撮る。いただきます、というメッセージと共にお母さんへ写真を送ると、すぐさま嬉しそうなスタンプが返ってきた。

お母さんはせっかく作ったキャラ弁が学校に持っていく間に崩れていないか気にかかるらしい。

パート先のお昼休みと学校のお昼休みの時間がかぶっているため、こうして写真を送るとほぼ毎回瞬時にスタンプが返ってくる。

前に一回、顔がアンパンのヒーローのほっぺたが散乱したお弁当の写真を送ったときには、あまりにショックだったのか何も返ってこなかったこともあったな。

そんなことを思い出しながらミニトマトを食べていると、またピコンとメッセージが届く。

何だろう、と開いてみれば、楽しいお昼休みをお過ごしください、と何故か畏まったメッセージ。

……いやいや、なんで良いお年をみたいなテンションなの。



「……ふっ」