聞き慣れない部活だった。

見間違いかと思ってもう一度顔を近付けて確認するが、そこに書かれていたのは“洗濯部”の文字。


なんだそれ、ともう一度じっくりとポスターを見る。


「活動日時は……“ここに来たくなったとき”? 活動内容は“天候と季節に左右されがち”……って」


よくよく読んでみればその内容はかなり変だ。

誰かの悪戯だろうか。いや、でもしっかりと学校の掲示許可印が押されている。



「……“一緒に青春しませんか”」


眉間に皺を寄せたまま、ポスターの一番上に書かれた誘い文句を口にする。

何故だかその誘い文句に、小さく胸が鳴った気がした。


そのときだった。





「なあ」


不意に背後から聞こえた、楽しげな声。

驚いて振り向くと、そこにいたのは笑顔を浮かべた男子生徒。

襟元についている校章の色は赤い。ということは二年生だろう。


涼しい五月の風が頬を撫でる。

目にかかっていた私の長い前髪が揺れて、視界が広がった。

露わになった私の瞳を覗き込むように首を傾げて、目の前の男子生徒は口を開く。







「洗濯部、入りませんか?」