南部君も間がもたないと感じたのか、テレビの電源を入れて、退屈なニュース番組を流す。


私としても、変に意識し続けるよりは、ニュースでも良いからテレビを見る事が出来るのは助かる。


「……」


「……」


お互いに無言の状態が続く。


殺人事件の容疑者がどうとか、動物園で赤ちゃんが生まれたなんてニュースが流れているけど、隣が気になって。


南部君が少し動いただけで、ビクッと身体が反応してしまう。


意識するまでは普通に話が出来ていたのに……今は凄くソワソワして、話も出来ない。


そして、こうなると考えてしまうのがおまじないの事。


嫌いじゃないのに意識してしまうのは、好きという事なのかな?


なんて、幽霊に尋ねたらどう返されるだろう。


「スキナンダヨ」って返している声を想像すると、何だかおかしく思える。


……あー、答えが出ちゃったよ。


自分の想像なのに、勝手に幽霊が言ってるみたいにして、「スキナンダヨ」って考えてしまった。


毎日電話で話していて、彩乃の様子を見に行った時から、家にいる時以外はずっと一緒にいてくれている南部君。


今まで気付かなかったのがおかしいくらいに、私に態度で示していたのに。


彩乃の事で、私は気付かなかった。