長い髪に付いた水分がなかなか拭き取れなくて、フェイスタオルを一つ取り、頭に乗せて脱衣所を出た。


振り返りたくない。


勘違いだとは思うけど、振り返ると幽霊がいそうだから。


こればかりは、おまじないをしてしまったから、あの感覚を思い出してしまうのだ。


耳元に感じる息遣いや声。


それが今にも聞こえてきそうな気がして、私は急いで部屋へと戻った。


明るい所はまだ安心出来るけど、暗い場所だと背後が気になって仕方ない。


怖い番組を見た時とか、同じような感じになるけど、すでに私は幽霊を見た事があるから、その怖さを知っている。


部屋の照明を点けて、タオルで髪を拭きながらホッと一息。


明るい場所は安心出来るな。


今日は暗いと、怖くて眠れそうにない。


照明を消したら最後。


幽霊に襲われてしまうかもしれない。


……なんて考えてしまう程なのに、どうして二回目なんてやりたいと思うんだろう。


私なんて、この後眠れるかどうかも不安なのにさ。


ふと時計を見てみると、1時を回った所。


いつもならとっくに眠っている時間だけど、今日は……。


出来るなら、このまま朝を迎えたい気もするけど、無理だろうなと冷静になって、私はベッドに腰を下ろした。