何?幽霊って一人じゃないの!?


私の背後から聞こえる、引きずるような足音が一人分じゃない。


二人……いや、三人?


もっといるような気がする。


私一人に対して、多くの幽霊が付いて来ている。


進むにつれ、邪魔も増えているように思える。


頬を撫でられたり、耳元で唸られたり。


……なんて考えていられない。


「こ、この学校にも、ゆ、幽霊っていたんだね。私、知らなかったよ」


気持ち悪くて、怖くて、涙が出てくる。


一瞬でも気を抜けば、恐怖で走り出してしまいそうだし、何より質問されてしまいそうだ。













「イルヨ……イッパイ」














「い、いっぱいいるんだ……」


もう、予想出来る事なんて何もない。


思うのは、早く生徒玄関に到着したいという事だけ。


幽霊と話をしながら、何とか二階まで下りる事が出来た。


ここでやっと半分くらい。


それなのに、もう逃げ出したいと思うくらいに辛い。


階段の手すりを伝って、さらに一階へと下りた。











「あははっ!ふふっ。待って待ってぇ!!私を置いて行かないでぇ!!」












二階の廊下の方から、そんな声と、足音が聞こえた。