とりあえず考えていても仕方がないので、先生に怒られるのを覚悟で教室に入ると、何かが爆発でもしたのかと言うような怒鳴り声が私に向かって飛んできた。


その大音量の第一声で、私はもう涙目。


込み上げてくる何かに耐え切れなくなって、涙が溢れそうになりながら、必死に謝って席に着いた。


「も、森川さん、大丈夫?珍しいね、遅刻なんて」


先生に怒られて、今にも泣き出してしまいそうな私に、後ろの南部君が声を掛ける。


隣じゃなくて良かった。


昨日、電話で話していたから寝坊したとか思われるのは恥ずかしいし、慰められるのは情けないから。


「大丈夫」と呟きながら頷き、教科書を開いた。


後10分程で一限目が終わってしまうけど、授業を聞かないと先生がまた怒る。


次こそ泣いてしまいそうだし、もう怒鳴り声はいらない。


そんな事を考えて、チラリと見た彩乃の席。


上履きがあったから、登校していない事は分かっていたけど。


私は泣く寸前まで怒られたのに、彩乃が怒られないのは納得が出来ない。


誰も座っていない席を見詰めて、彩乃が来たら絶対に文句を言ってやろうと考えていた。


人を巻き込むのはやめてくれって。


もう二度と夜中に電話しないと約束させたかった。