あたしの役目は、学校でも家でも殴られること。

そうやって、みんなのストレスのはけ口になっているんだ。

登校拒否になることも考えた。

だけど、お母さんが絶対に許さないから。

ため息。


キィ


屋上の扉が開いて、
「あれ?」
という声。

哲也だ。

「おい、千夏は?」

ポケットに手をつっこんで歩いて来る。

「もう教室に戻りました」

敬語で話すようにと命令されたのはおとついから。


だって、あたしは犬だから。