その時、向こうから甲高い笑い声をあげながら千夏たちが歩いて来るのが見えた。

千夏はあたしの顔を見ると、声には出さずに口を動かして見せた。

『ぜっこう』

そう動くのがわかった。

そのまますれ違って、また笑い声をあげている。


女子トイレに入ると、遙香は自分のハンカチを濡らしてあたしの制服を拭き始める。

「どうしちゃったのよ、純子。いったい何があったの?」

「そうだよ。最近、なんにも話してくれないじゃん」

瑠奈も同じようにあたしの髪を整える。

よほどひどい恰好だったのだろう。


「遙香、瑠奈。聞いてほしいことがあるの」

「うん。全部、話して」

遙香がまっすぐにあたしを見た。