「私の言うことと、泥棒の言うこと。どちらを信じるかは明白ですからね」

遠くから美鈴の声が聞こえた。

彼女も悪魔だ。


「お前さ、逆らうなんて勇気ある、って褒めてあげたいとこだけど、今回にかぎってはただのバカでしかないね」

渚は腕を組んで鼻で笑った。

悪魔がもうひとりいた。


3人の悪魔が、あたしを笑う。


「あんたは卒業するまで、あたしたちの犬って決めたからさ。命令には背かないほうが身のためだからね」
そう言うと千夏はあたしの頬をやさしくなでた。

ガタガタと体が震えた。

「こんなに顔、汚れちゃって……。かわいそうに」

やさしくなでる千夏の手が、まるでナイフのように冷たく感じる。