「ウソ。短い付き合いだけど、純子がつくウソくらいわかるんだから」

あたしを安心させようとしているのか、軽く笑って遙香が首をかしげる。


そうだよね……。


でも、あたしは言えない。


言えないんだよ。

うつむいたあたしの肩に、遙香の手が置かれた。

「ねぇ、どうして最近千夏たちと一緒にいるの? なにかあったんでしょう?」

「なにもないよ。本当だから」

その手を振り払うように歩き出す。

傷ついたような遙香の顔が視界に見えた。


でも、ごめん……。


遙香を巻き込みたくないの。

やがて、教室が見えてくる。