「ひでぇ」

言葉とは裏腹に、哲也がさも楽しげに笑った。

千夏も笑う。

渚も。


笑えないのは、あたしだけ。


「拾っておいてくださいね」
そう言うと、ウーロン茶を飲みながら美鈴は歩いてゆく。

「バイバイ。また明日よろしく」
軽く言って千夏も哲也と歩いてゆく。

渚も鼻で笑うと、屋上からいなくなった。


残されたのは、あたしとお弁当の残がい。

そろそろ昼休みが終わる。

あたしは、しゃがみこむとこぼれたお弁当を拾う。

おにぎりは形が崩れて、バラバラになっている。