「あ……」

「残っちゃいましたね」
美鈴がお弁当の中身を見ながら、クスクスと笑う。

「それ……」

あたしのお弁当。


返して。


言葉にできずにあたしは手を伸ばした。

しかし、美鈴はお弁当箱をそのままひっくり返した。


ボタボタッ


残ったおかずと、おにぎりがコンクリートに音を立てて落ちた。

「もうお腹いっぱいです」
美鈴はそう言うと、お弁当箱さえも捨てるように落とした。


カラン

乾いた音がした。