「なに、純子も一緒? 珍しいじゃん」

ヘラヘラと笑って哲也が千夏の肩を抱く。

その目が嫌い。

バカにしたようにあたしを見る。

「哲也、純子がこれからあたしたちの犬だよ」
甘えるように千夏が楽しそうに言う。

哲也はおもしろそうに目を見開くと、
「へぇ」
と、声を出した。


あたしは犬……。


そう思われていることに、足元が崩れそうなほどショックを受ける。

地面に置かれたお弁当箱には、まだ少しおかずが残されていた。


少しでも食べないと……。


あたしは、手を伸ばしてそれを取ろうとする。

あと少しでつかめそうな距離まできた時、あたしのお弁当箱は美鈴の手によって持ち上げられた。