「遅い!」

屋上に戻ったあたしを待っていたのは、渚の怒鳴り声だった。

「ごめん……。売店混んでて……」

「言い訳すんなよ」

あたしの手からジュースを奪い取るようにもぎとると、渚は千夏と美鈴にパスする。

千夏はお礼を言う訳でもなく、それを飲み出した。


キィ


後ろで扉の開く音が聞こえ、あたしは振り返った。

ひょっとして、先生が様子を見に来てくれたのかも!?

「よぉ」

しかし、現れたのは同じクラスの田中哲也。

校則ギリギリまで茶色に染めた髪。

粗雑な言動で、男子のリーダー的存在。

「哲也」
千夏がかわいらしい声を上げて、田中哲也のもとへ。


千夏と哲也が付き合っているのは、周知の事実だ。