秋の夕暮れは早い。

あっという間にオレンジに染まる校庭には、陸上部の作る長い影が見える。

10月も後半になり、少し風も涼しく感じてきたこのごろ。

「もう、純子が遅いから」
そう言って、前を歩く橘 遙香が唇をとがらせてる。

どんな顔をしていても、遙香はかわいいって私は思うんだよね。

本人は自覚してないみたいだけれど。

「ごめんねぇ」
あたしは、カバンを持ち直して小走りで追いつく。

「仕方ないよ。純子はマイペースだもんね」
大橋瑠奈が、あたしを振り返ってクスッと笑う。

「そんなことないもん。ただ、用意に時間かかっちゃうの」