「ありがとう、遙香。ありがとう」
そう言うと、純子はうずの中に頭から飛び込んだ。

「純子ぉ! いやだよ、行かないでよ!」

すぐにその体はうずに飲み込まれ、そして消える。

それと同時にうずも消え、白い壁に戻った。


バンッ!


ドアを勢いよく開ける音。

「遙香!」

鏡が入り口に立っているのを見た私は、
「鏡さん!」
そのまま、その胸に飛び込んだ。

「なんだか気になって戻ってきたんだ。大きな声が聞こえたけど、大丈夫か?」

ギュッと抱きしめられながら、私は泣いた。

鏡が私を呼び捨てで言ったのも気にならなかった。