「また泣くんだから」
そう言って純子は私の髪をなでた。

前のような冷たさや臭気はない。

両手を広げた純子が私を抱きしめると、私は声を出して泣いた。

「純子!」

「ごめんね。2回ならまだしも、3回目のお別れになっちゃった」

「うう……ひどいよ。ひどいよ……」

「もう泣かないで」

「ムリ……。こんなに悲しいことがあるの? こんなに苦しいの?」

純子の肩で私は思いっきり泣いた。

やがて、私の泣き声がおさまってくると、純子の体が離れた。

「これ、持っていくね」

落ちていたナイフを拾うと、リュックにしまい手に持つ。