「なんで!?」
声を上げた私に、瑠奈はリュックから取り出したものを見せる。


それは、大きなサバイバルナイフだった。


その刃先を私に向ける。

「……なんで? そんなの決まってるじゃん。スズメバチをやっつけるなら、絶対に女王蜂もろとも殺さなきゃ」

「瑠奈……?」

ゆっくりと立ち上がった瑠奈はそのままナイフを両手で構えた。

「遙香、気づいてたかと思ってた。でも、違ったみたいだね。結局知ったからいいか」

その目は見開いていて、まるで狂った人間のよう。


目だけは狂気じみているのに、あいかわらず笑っている。